猫には野生時代からの習性があります。ここでは主なものをピックアップしてご紹介します。「不思議だな」と思っていた行動は、もしかしたら習性によるものかもしれないですね。
◆狭い所が好き
小さなすき間や段ボールなど、猫は狭いところが好きですよね。どう見ても小さすぎる箱に果敢に挑む姿を目にすることも。猫の祖先は砂漠の穴などで外敵から身を隠して生活していたそうです。
そのため狭いところは猫にとって「安心する場所」として、今でも好む習性があると言われています。
◆きれい好き
猫はきれい好きです。毛づくろいでつねに体をきれいにしているので、臭うこともほとんどありません。これは猫が狩りのときに、獲物にバレないように自分のニオイを消していたためです。
またトイレのきれいさに敏感な猫も多く、これは野生時代に敵や獲物から自分の存在を隠していた習性からくるものだと言われています。
◆縄張り意識が強い
猫は自分だけの縄張りをつくる習性があります。猫が安心できる場所、そして野生では食料を保管しておく場所としても使用されます。室内飼いの猫にも縄張りがあり、家の中を定期的にパトロールします。新しいものがあると、ニオイを嗅ごうとすることがよくありますよね。
また縄張りは自分を守るだけでなく、猫同士がお互いの縄張りを尊重することで、争いを防ぐことにもつながります。
◆ハンティングが好き
猫はハンティングが大好きです。野生時代の名残で、動くものを見るとついつい追いかけてしまいます。
室内飼いの猫は、おもちゃで遊ぶことで狩猟本能を満たし、運動不足やストレス解消にもなります。猫じゃらしやレーザーポインターなど、猫の好みに合わせたおもちゃで遊ばせてあげましょう。猫が夢中になって遊んでいる姿を見ると、飼い主さんも嬉しい気持ちになりますね。
◆単独行動を好む
猫は単独行動を好む動物です。野生時代から集団行動をせず、単独で狩りをし生活してきたため、単独行動を好む習性があります。そのため、犬とは異なり、服従したり協調したりすることはなく、つねにマイペースです。そこが猫の可愛いところですよね。
猫は飼い主に対する忠誠心もありません。自分で行動を判断してきたので自立心が強く、無理強いされることを嫌います。猫と暮らすには、猫のペースに合わせ、尊重する必要があります。
◆食事は少しずつ食べる
猫は食事を一度にたくさん食べるよりは、時間をかけて少しずつ食べるところをよく見かけます。猫は単独で狩りを行う動物なので、空腹になるのを防ぐために、一度に食べきらず少し残していたからだと言われています。
猫の習性によるあるある行動
次は猫の習性による「あるあるな行動」についてご紹介します。きっとみなさんの飼い猫も、当てはまる行動がいっぱいあるはず!
◆爪とぎ
猫は爪とぎをする動物です。これは狩りをするときに必要な鋭くとがった爪を保つために行われていました。
狩りのためだけでなく、爪とぎには気持ちを落ち着かせたり、ストレスを発散したりする効果もあります。興奮している猫が、落ち着くために爪とぎをしているシーンを見かけることがありますよね。
さらに、肉球には臭腺があり、爪とぎをすることで自分のニオイをつけ、マーキングをしていることもあります。
◆グルーミング
猫は頻繁にグルーミング(毛づくろい)をします。トゲトゲの舌でブラシのように全身をなめることで、毛並みを整えたり汚れや古い毛を取り除いたりします。
ほかにもグルーミングにはさまざまな効果があり、そのひとつが体温調節です。
猫はほとんど汗をかかないので、暑い日はグルーミングが体温調節の役割も果たします。
さらに落ち着いたり安心したりという効果もあります。
また野生では、自分のニオイを消すことで敵や獲物に自分の存在をバレないようにするためにグルーミングを行います。
◆決まった場所でトイレをする
猫は決まった場所で、排せつすることを好む習性があります。きれい好きだからというのもありますが、このような行動の理由の1つは「縄張りの主張」だと言われています。特定の場所に自分のニオイを残すことで「ここは自分の縄張りだ」ということを伝えています。
◆高い所に登る
猫はキャットタワーやタンスの上、屋外であれば木の上などの高い場所を好む習性があります。これは獲物を見つけやすくしたり、地上の外敵から身を守ったりするためだと言われています。
またそのほかにも、「自分の方が立場が上だ」と自分の優位性を示すという目的や、ノミやダニが少ないというメリットがあると考えられています。
◆空き箱に入る
箱を置いておくと、必ずと言っていいほど猫が入ろうとしますよね。これは狭いところが好きな習性に起因しています。
狭い場所は外敵から隠れるための安全な場所でありながら、獲物を待ち伏せする場所でもあったので、空き箱を見ると本能を刺激されるのかもしれません。
また段ボール箱は断熱性があるので、単純に暖かさがお気に入りであるという場合もあるようです。
◆一日の大半を寝ている
猫は一日の大半を寝て過ごしています。成猫であれば一日14~15時間、子猫や高齢の猫なら20時間近く寝ることも。
これは野生時代、狩りをしていたときの本能の名残だと言われています。猫は肉食なので狩りをします。次にいつ獲物を捕まえられるかがわからないので、少しでも体力を温存するために狩り以外の時間は寝て過ごしていたそうです。
眠っている間も危険を察知できるよう浅い眠りがほとんどで、小さな物音でもすぐ目を覚まします。
◆早朝の運動会
早朝に猫の走り回る音で目が覚めた、という経験をしたことがある飼い主さんも多いのではないでしょうか。猫は「薄明薄暮性(はくめいはくぼせい)」で、日中に休み明け方と夕方に活動的になります。
これはネズミなどの小動物の活動時間に合わせて狩りをしていたためだと言われています。
家で飼われている猫は、人と暮らしていると徐々に飼い主さんに合わせた生活リズムになってくれることもあるそうです。早朝出勤の飼い主さんは嬉しいかもしれませんね。
猫のかわいいしぐさとその理由
愛猫のかわいいしぐさと言えば、何を思い浮かべるでしょうか?
猫のかわいいしぐさや行動のなかには、猫の習性によるものがあります。今回はそのなかの3つをピックアップしてご紹介します。
◆飼い主の足や家具の角にスリスリ
猫が飼い主さんの足や家具の角などにスリスリすることがありますよね。これはマーキング行動のひとつです。猫の耳の付け根にはニオイの分泌腺があり、それをこすりつけることで自分のニオイをつけて安心したいという目的があります。
猫は自分の縄張りに知らないニオイがあると不安になります。そのため外から帰ってきた飼い主さんが自分の知らないニオイをしていた場合に、自分のニオイをつけたくなるんですね。
そのほか、甘えたいときや「ご飯が欲しい」などの要求がある場合にも、スリスリをすることがあります。
◆ふみふみ
飼い主さんやクッション、毛布などでふみふみをする猫ちゃんがいます。これは子猫が母猫の母乳を飲むときに母乳がでやすくなるようにするための動きです。
本来は成長するにつれてこの行動はなくなりますが、飼い猫は子猫気分が抜けず、成猫になってからもふみふみをすることがあると考えられています。だれにでもするというわけではなく、慕っている人にだけ「甘えたい気分」のときにすることが多いようです。
◆喉を鳴らす
猫がゴロゴロと喉を鳴らすことがあります。これはしあわせなときやリラックスしているとき、飼い主さんに「なでてほしい」など何かをおねだりするときなどに見せるしぐさです。
またストレスを感じているときや苦しいときなどにも喉を鳴らすことがあります。動物病院が苦手な猫ちゃんが診察台でゴロゴロ鳴らしているときは、ストレスが理由かもしれません。
猫の習性を理解して住環境を整えよう!
猫にはさまざまな習性があることがわかりました。ここではその習性を利用して、もっと猫が暮らしやすくするための住まいづくりについてご紹介します!
◆高い所に登れるようにする
猫は高い場所が好きなので、高いところに登れる環境をつくってあげることをおすすめします。市販のキャットタワー、キャットウォークなどで猫が上下運動できるようにしましょう。市販品だけでなく、家具のレイアウトを工夫して登れるようにしたり、段ボールでDIYをしたりするのも楽しそうですね。
また、高いところにゴロンと寝転べるスペースや隠れられる場所があると、猫がリラックスできるのでおすすめです。
◆爪とぎを複数用意する
猫にとって爪とぎ行為は必須事項ですが、壁や家具で爪とぎされてしまうのは困りものです。そんな事態をできるだけ防げるよう、爪とぎの種類や設置場所を猫ちゃんの好みに合わせてあげましょう。
爪とぎの種類は、段ボール製が猫ちゃんに好まれることが多く人気です。段ボール以外にも麻素材のものや、木製のタイプもあります。猫ちゃんによって好みがわかれますので、どの素材が好きか試してみましょう。
設置場所については、いろんな場所に試しに設置して、猫が爪をとぎたい場所を探してみましょう。
また、立って壁でとぎたい猫もいれば、床に置いてとぎたい猫も、さらには気分で両方を使い分けたい猫など好みがわかれますので、こちらも愛猫の好みを探ってみましょう!
さらに、気が向いたときに爪をとげるよう、1つの場所だけよりは、いくつかの場所に置くのがおすすめです。
◆きれいなトイレ環境を用意する
猫にとってトイレの清潔さはとても重要です。野生時代、排せつ物のニオイを残すことは、外敵に自分の存在がバレてしまうリスクにつながりました。そのためトイレ環境に敏感な猫は多く、トイレ環境に不満があるとトイレを我慢してしまったり、ほかの場所で粗相してしまったりすることもあります。
そういったことを防ぐためにも、トイレはきれいな状態を保つようにしましょう。猫が排せつしたことに気づいたらすぐに片づけてあげるのが理想的ですが、飼い主さんもずっと見てあげられるわけではないので難しいことも多いですよね。
基本的には1日に1回~2回掃除をするようにしましょう。そしてどうしても汚れや雑菌、ニオイがついてしまうので、月に1回程度トイレの丸洗いをするのをおすすめします。
トイレの設置場所については、静かで落ち着ける場所を好みます。食事をする場所からはできるだけ離して設置するようにしましょう。
◆寝床を複数用意する
猫は自分だけの安心できるスペースを必要とします。安心できる場所は、段ボールなどの狭くて暗い場所や、毛布の中、棚の上など猫ちゃんの好みによってさまざまです。
また「今日はここ!」と、猫ちゃんの気分によって心地よい場所が変わるので、いくつかあると安心ですね。
まとめ
猫の習性と、それにともなう行動やしぐさの理由、そして猫の習性に合った住まいづくりについてご紹介しました。猫の習性を知ることで、猫の行動の理由や気をつけたいことなどに気づくことができます。習性を理解して、猫ちゃんにとっても飼い主さんにとっても過ごしやすい環境をつくってみてください!