自然災害が多くなったこの頃は、ご家庭で一週間分の飲料水や食料のストック、避難所の確認、家族への連絡方法などを決めておくといった防災意識が高まっています。自宅ではなく避難所へ避難する場合、猫ちゃんはどうするか決めていますか?
災害時に自宅に猫ちゃんを置いて避難所へいけないからと、危険な状態で避難できない方が多かったこともあり、避難所によってはペットを同じ施設で収容してくれるところも増えてきました。でも一緒に避難できないなんて悲しいですよね?
猫ちゃんと一緒に避難所へ避難する場合、備えておきたい猫ちゃんの避難グッズをご紹介します。
猫用避難グッズリスト
猫ちゃんのための避難グッズで、日頃から準備しておくと安心なものをご紹介しましょう。
◆キャリーバッグ
避難所までの移動にも、避難所での生活スペースとしてもキャリーバッグは避難グッズの中でも必要不可欠です。猫ちゃんの大きさにあったものを準備してください。
避難する時は危険な場所があると想定されます。なるべく両手は空けておきたいものです。猫ちゃんの入ったキャリーバッグも肩からかけられるタイプか、リュックになるタイプが安全です。
障害物で飼い主さんがころんだ時など、手提げのハードタイプのキャリーバッグを落としてしまい破損した部分から驚いた猫ちゃんが脱走して迷子になってしまうトラブルもあります。
◆ケージ
避難所によってケージスペースがある場合は、自宅で使っているケージだと猫ちゃんも安心できますね。
折り畳めるタイプの小型ケージは持ち運びに便利。普段使うには耐久性があまりあるといえませんが、軽量タイプの折りたたみケージも避難グッズとして1つあるといいグッズです。
できれば猫ちゃんが中でご飯やトイレができるやや大きめのものがあるとベストです。
◆トイレセット
トイレセットも避難グッズには必須です。
猫ちゃんはいつも使っている砂でないとダメという繊細な子もいます。いつも使っている猫砂を避難グッズとして、持ち出しやすいようにストックしておきましょう。
またトイレケースと砂用スコップ、毎回お掃除した砂を入れるビニール袋も必要です。ニオイが気になる時に使うペット専用の消臭剤や、砂の匂いを取るシリカゲルも準備しておくと良いですね。
トイレケースは折り畳める簡易タイプも避難グッズとして販売されています。専用ケースでなくても代用できるものもあります。
さて、トイレのお掃除について注意したいとこがあります。いつもトイレに流せる砂を使っている場合、避難先でトイレに流してしまうと、大勢の人が使うためすぐに下水処理ができずいっぱいになってしまうこともあります。また、断水でトイレが使えないことも珍しくありません。使用した砂や猫ちゃんの糞尿の片付けは、避難所の運営管理者に確認してくださいね。
◆ペットフードや水
人間用の避難グッズと同じで、欠かせないのがペットフードと水です。いつも食べているもの、保存のきくドライフードも保管に便利です。食欲が落ちてしまうこともある猫ちゃんのために、匂いが食欲をそそる缶詰タイプも準備しておきましょう。
体重4kgの猫が1日に必要とする水分量は約238mL。そのうち約214.2mLを飲み水やフードから摂取する必要があります。
断水してしまって飲料水が不足することもあります。猫ちゃん用に少なくとも5日分、できれば7日分以上用意しておくといいでしょう。
フードと水を入れる食器も忘れずに入れておきましょう。
◆おやつ
ストレスのたまった猫ちゃんのためにおやつも用意してあげましょう。大好きなおやつは避難グッズにも入れてください。ストレスで食欲が落ちてしまう猫ちゃんには、栄養価の高いおやつもおすすめです。
◆ゴミ袋
猫砂や使用済みのペットシートなどは、すぐに処分できないこともあります。ゴミ袋は多めに準備しておきましょう。匂いがもれないように、新聞紙に包んでから袋に入れたり、砂の臭い取りのシリカゲルを準備しておくのもおすすめです。
◆リードやハーネス
ゲージやキャリーバッグから出すときほんの一瞬で、慣れない環境にあるため逃走してしまう猫ちゃんもいます。迷子になってしまう危険があります。できればリードやハーネスをつけているほうが安心です。キャリーバッグにリードを留める金具があるものも多く、少々可愛そうな気もしますが緊急時ということでまずは逃げないようにしておきたいですね。知らない場所で逃げてしまったら大変です。
リードやハーネスの代わりに、洗濯ネットも重宝します。猫ちゃんが落ち着かない様子のとき、抱っこしてあげるなどで活躍します。
◆薬持病のある猫ちゃんがいつも飲んでいる薬があれば必ず持ち出しましょう。域が同じなら、かかりつけ医が一緒に被災している可能性もあります。すぐに処方してもらえないことも想定できます。
薬と一緒に療法食が必要な場合も準備しておきましょう。また、猫ちゃんが動物病院でもらったお薬以外で、ビフィズス菌入や乳酸菌といった健康サプリメントを使っている場合もお忘れなく。すぐに持ち出せるようにしておきましょう。
◆体温調節ができるもの
避難所は大きなスペースのため寒いことがあります。いつも使っている猫ちゃんのベッドや毛布、敷物も準備しておきましょう。人用のタオルも多めにあるといいですね。家で使っている匂いがあると猫ちゃんも安心します。
また慣れない環境で、普段接したことがない知らない人や動物など刺激が強くて落ち着けないことがあります。猫ちゃんは暗くて狭い場所が落ち着くので、ゲージやキャリーバッグを覆う大判のタオルなどもあると便利です。
◆お手入れグッズ
ブラシや猫ちゃんの目や耳の掃除などに使えるウェットタオル、洗浄綿などがあると便利です。また、避難所ではシャンプーができないので猫ちゃん専用のシャンプータオルもあるといいですね。その他には猫ちゃんの環境整備のために、ガムテープもあると抜け毛のお掃除に便利。お掃除シートなどもおすすめです。
猫の避難グッズを作るときに注意すること
では、避難グッズを揃えるときに注意することについてお話します。避難グッズは、余裕を持って7日間最低でも5日分の備蓄が必要になります。小さな猫ちゃんとはいえ、かなりの量になります。保管のコツや避難グッズの考え方なども検討してみましょう。
◆持ち運びしやすいように
あれこれ避難グッズを用意したのに、いざ避難のときに持ち運べないのでは意味がありませんね。ある程度の日数、猫ちゃんの衣食住を賄うのはやや量の多い手荷物になります。猫砂は重さもありかさばるうえに、食料や飲料水でさらに重くなります。トイレの容器もそれなりの大きさが必要ですね。
そして避難するときは、大事な猫ちゃんをキャリーバッグで運ぶこともお忘れなく。猫ちゃん1匹で1泊旅行の手荷物くらいになります。災害時は車での移動が難しい場合があります。道路が浸水していたり、倒壊した建造物でふさがっていることもあります。
避難先までは基本「徒歩」です。キャリーバッグと猫ちゃん用の避難グッズだけで両手はふさがってしまい、重量もかなりあるはずです。道路状況が許せば、避難グッズはキャスター付きのキャリーケースに入れて避難することもおすすめです。
すべての道のりがキャリーを使えないこともあるでしょうが、部分部分で持ち運ぶので済みそうなら避難所での荷物の保管もキャリーケースだとスッキリさせられます。
普段徒歩5分の場所だとしても、災害時は倍以上の時間がかかることもあります。避難グッズは普段から持ち運びしやすい入れ物で管理しておきましょう。
◆定期的に賞味期限をチェック
避難グッズの食料やお水は定期的に賞味期限をチェックしましょう。避難グッズとしてしまっておくのも方法のひとつですが、普段食べているご飯のストックとして保管する方法があります。期限切れをなくすために、普段食べてストックがなくなる前に次を足しておくというのがベストです。この方法なら面倒な在庫チェックも必要ありませんね。
保管場所も奥の方に保管するより普段すぐ出せる場所がいいですし、普段のご飯と同じもののほうが食欲がなくても食べやすいでしょう。
◆人間用の避難グッズも用意する
猫ちゃんの避難グッズと一緒に人間用の避難グッズも用意して保管しておきましょう。避難は夜間の場合もあります.停電などで暗い家中をあちこち探していては避難が遅くなってしまいます。外に出られる場所の一箇所にまとめておくことをおすすめします。
猫ちゃん用の避難グッズと一緒に、人間の避難グッズで揃えたいものをお話します。
まずは貴重品です。現金やカード類、預貯金通帳、権利証、保険証、お薬手帳、印鑑などは持参しましょう。悲しいことですが、避難しているときに空き巣が入ることも多く報告されています。
また、避難所では食料の配分もありますが、準備万端ですぐに配布される保証はありません。乾パンや缶詰など非常食として準備しておきましょう。また、断水することが多いので持ち運びできる飲料水も必要です。
避難グッズの備品類としては、応急手当のできる絆創膏や包帯、常用薬などと懐中電灯や充電式携帯ラジオ、着替え、タオル類、雨具や軍手なども揃えましょう。ティッシュペーパーやペーパータオル、食品用のラップ、ビニール袋やモバイルバッテリーなども備えておきたいグッズです。
避難グッズ以外で準備しておきたいこと
避難グッズ以外でも準備しておきたいことがあります。避難する前に事前に知っておくこと、しておくといいことをお話しましょう。
◆避難所の場所や避難経路を確認
まず自分の自治体の避難場所と避難経路を確認しておきましょう。自治体のハザードマップも確認しておく必要があります。浸水被害の多い場所やがけ崩れなど危険な場所が経路にあると、迂回する必要がある可能性もあります。
実際に歩いてみて現状の避難経路の確認も必要です。人口の多い自治体では、近所の避難所がいっぱいになってしまい受け入れてもらえない事も起きています。一番近い避難所と徒歩圏内の他の避難所、車で移動できる避難所をいくつかピックアップしておくことも大切です。
◆キャリーへの抵抗感を減らす
避難するときに使うキャリーバッグ、動物病院へ行くときくらいしか使わない猫ちゃんにとっては嫌〜な物と思われていませんか?キャリーバッグを出すと一目散に逃げる猫ちゃんも少なくないはず。賢い猫は、困ったことにインプットされた情報を長い間覚えています。
最近ではトイレの容器になるキャリーバッグや、蓋を取るとベッドとして使えるキャリーケースなどもあります。普段からキャリーバッグの中でおやつをあげたり、ベッドにしておくと逃げられずにスムーズな避難ができるかもしれません。
災害時驚いて狭い場所に隠れてしまい、泣く泣く飼い主さんだけ避難するということも少なくありません。猫ちゃんが安心できる場所、逃げ込む先がキャリーバッグになっていたら理想的ですね。
◆マイクロチップ
猫ちゃんにマイクロチップを装着する飼い主さんも増えています。迷子になった時にかかりつけ医に連絡してネットワークで通知してもらったり、迷い猫の確認に使えます。また、ペット保険でもマイクロチップの装着特典があるものもあります。
マイクロチップの装着は難しくありませんが、全身麻酔になるので避妊手術のときに合わせるという獣医さんもいます。何度も全身麻酔をするのは、猫ちゃんの負担になるからという理由からです。もしものときに、マイクロチップを装着していると探すために役に立ちます。
◆そのほか用意しておくと良いもの
避難グッズの中に入れておくといいものをお話します。もしものときに使う猫ちゃんの写真です。猫ちゃんの特徴がわかりやすいもの、前からの顔、からだの横側や上からといった模様がわかりやすいものを用意しましょう。一緒に飼い主さんの連絡先と、飼い主さん以外の緊急連絡先・預け先などの情報も準備しましょう。停電で携帯電話が使えないこともあるため、印刷物として持っておくことがおすすめです。電源がある場合は使い勝手が良いので、携帯電話などに画像を保存しておくといいですね。
猫ちゃんの既往症や投薬中の薬情報、検査結果や健康状態、かかりつけの病院などの情報も揃えておきましょう。体調不良になってかかりつけ医以外の獣医さんのお世話になることもあります。スムーズな診断に役立ちます。
また、避難所の環境に合わずに一時預かりしてもらえることもあります。ペットホテルでもそうですが、預かり先にワクチン接種の有無の証明書提出が必要になることも。ワクチン接種証明書も一緒にしておくと、必要になった時慌てなくていいですね。
まとめ
環境の変化に敏感な猫ちゃんは、ストレスからいつもおとなしいのによく鳴くようになってしまったり、ご飯を食べなくなってしまう、下痢をするなど心配なことが起きてしまう可能性もあります。かかりつけ医で預かってもらえるか、ペットホテルの情報なども事前に調べておくと安心です。
避難所でペットも一緒に避難できるところも増えてきました。しかし避難所は集団で生活し、プライベートは確保が難しく、共同生活をするためのルールもあります。猫ちゃんは吠えない、省スペースで暮らせるといった共同生活でも対応しやすい特徴を持っています。しかし、それでも誰もが手放しで快く受け入れているわけではありません。
ルールを守ってトラブルにならないように過ごすために、猫ちゃんに必要な防災グッズの備えと一緒に避難のあり方を事前に確認しておいてください。