手の上の子猫

そもそも、猫の爪切りは何のために必要なのでしょうか?
「猫は爪を研ぐから、切る必要はないのでは?」と考える飼い主さんも、いるかもしれません。
しかし、爪とぎと爪切りは役割が異なるため、爪切りは、飼い猫には必須のお手入れなのです。

◆怪我防止のため

外で暮らす猫の爪は、獲物を捕らえたり、木を登ったりすることで、摩耗して自然と丸みを帯びてきます。
しかし、室内飼育の猫の場合、そのように爪を使う機会は非常に少なく、摩耗することなく鋭く伸びて尖ってしまいます。
特に子猫は、まだ爪の出し入れができず、遊びのじゃれあいの中で相手を傷つけてしまうことがあります。また、伸びすぎた爪が肉球に刺さって、化膿してしまうこともあります。その他にも、カーテンやカーペットに引っかかって、そのまま爪が折れてしまう危険も。
猫自身や飼い主さん、同居する猫や犬などの怪我を防止するために、爪切りは必須です。

◆壁や家具を守るため

猫は、武器である爪を鋭く保つため、またマーキングして縄張りや所有を主張するため、爪とぎをします。
猫にとって、爪が程よく刺さるものは格好の爪とぎです。ソファやタンスなどの家具や壁は、猫の飼い主さんが爪とぎをされて頭を悩ませる代表格ではないでしょうか?
見た目が悪くなるだけではなく、壁の爪とぎ跡は家の資産価値を下げることになったり、賃貸であれば原状回復のために思わぬ費用が必要になったりします。
爪切りをして、爪の先端が尖っていなければ、壁や家具に傷がつくことを防ぐことができます。せっかく購入した家具がボロボロになるのは誰だっていやですよね?


子猫の爪切りはいつから行う?

では、子猫の場合、いつから爪切りを行ってよいのでしょうか?

◆生後1ヶ月過ぎ頃

子猫の爪切りを始める時期は、体の大きさや状態によっても異なりますが、おおむね生後1ヶ月~2ヶ月ごろが適しているとされています。
生まれて間もない子猫の爪は、非常に柔らかい状態です。爪がしっかりとした硬さになったことを確認してから、爪切りを始めましょう。
もし、母猫やきょうだいたちと一緒に生活している場合には、生後3ヶ月くらいまで待ってから始めてもよいでしょう。
生後数ヶ月間は、母猫やきょうだいたちと触れ合うことで社会性を学ぶ時期(社会化期)であり、爪の使い方や、爪を出していい時、ひっこめた方がいい時などを学んでいくからです。この時、爪が切られていると、爪の使い方が分からなくなってしまう恐れもあります。

◆子猫のうちから爪切りになれてもらおう

爪切りが好きな猫は、まずいないでしょう。武器である爪を切られること自体のほか、体を拘束されたり足の先を触られたりすることも、猫にとってはあまり好ましいものではないからです。
子猫の時期は、様々な環境や事柄を受け入れやすい時期です。このため、この時期に爪切りに慣れさせておくと、成猫になってからも大人しく爪を切らせてくれるようになります。
ぜひ、なにごとにも柔軟な子猫のうちから、爪切りに慣れてもらいましょう。

◆子猫の爪切りを始める前に

猫は、足先を触られることを好みません。そのため、実際に爪切りを始める時期より前から、子猫とのスキンシップの中で足を触られることに慣れさせておくと、爪切りをしやすくなります。
子猫を撫でているときや遊んでいるときなどに、足を優しくギュッと握る、肉球を押して爪の状態を確認するなどして、足を触られることに慣れさせましょう。
子猫の体を無理に押さえつけるようなことをすると、嫌なこととして学習してしまうので、気をつけてくださいね。
また、猫の爪は普段は隠れているので、爪切りをする時には爪の根元部分を上下からそっと押して爪を出す必要があります。爪切りをしようというとき、うまく爪が出せずに手間取ってしまうと、子猫が爪切りを嫌がるようになることも。あらかじめ、爪の出し入れの練習もしておくといいでしょう。

◆子猫の爪切りの頻度は?

子猫のうちは、爪が伸びるスピードが速いです。そのため、子猫の爪切りは、1週間~10日程度を目安に行いましょう。ただし、これはあくまで目安なので、爪の先端が鋭くなっていたら行うのが理想です。


初めての爪切りにチャレンジしてみよう!

◆扱いやすい爪切りを用意

猫壱 ストレスなくスパッと切れる猫用爪切り

猫用の爪切りを用意しましょう。猫の爪は人と比べて湾曲しているので、猫用に作られたものが安心です。
猫用の爪切りには、「ハサミタイプ」、「ギロチンタイプ」、「ピコックタイプ」があります。
ハサミタイプは、日頃使う文具のハサミと同じような形状をしていて、初心者でも扱いやすいです。ギロチンタイプは、丸い穴状になった刃に爪を通して切るタイプで、獣医師さんも使用しています。ピコックタイプはギロチンタイプと似ていますが、刃の部分が穴状ではないので、巻き爪が肉球に食い込んでいるような場合にも使うことができます。
子猫の爪は柔らかいので、ハサミタイプがおすすめです。飼い主さんが慣れるまではハサミタイプを使い、慣れてきたらギロチンタイプに移行してもいいでしょう。
また、切った後のささくれだった爪を磨いて整えるために、爪やすりも用意しておきましょうね。

◆人間の爪切りを使用してもいい?

ご紹介した通り、様々な猫用爪切りが販売されていますが、人間用の爪切りではダメなのか?と思われた方もいらっしゃると思います。
結論としては、人間用の爪切りを使用しても問題ありません。猫飼育ベテランの人の中にはいつも人用の爪切りを使って切っているという方もいます。
日ごろから使い慣れているものですので、力加減も簡単で手早くできるという意見も多いです。

しかし、猫飼育が初めての人や、子猫には猫用の爪切りを使うことをおすすめします。
やはり、猫の爪を研究して作られているため安全性が高いこと、切りすぎないようにガードがついているものもあることなどメリットも多いからです。

◆リラックスした状態で行う

子猫を膝の上に乗せて、リラックスした状態で行いましょう。飼い主さんの緊張は子猫に伝わるので、飼い主さんも肩の力を抜いて始めましょう。
仰向けに寝かせて切ると、切りやすいでしょう。

◆爪を切りすぎないよう注意

切るのは、爪の先端の透明な部分2mm程度です。
猫の爪は、二重構造になっています。外側は硬い爪が何層も重なっていて、一番外側の層が爪とぎなどで剥がれ落ちます。内側のピンクの部分は、「クイック」と言い、血管と神経が通っています。クイックを傷つけると、出血し痛みも伴います。トラウマになり、以後、爪切りをさせてくれなくなることもあるので、傷つけないように気をつけましょう。
もし出血した時には、ガーゼを当てて10~20分間、圧迫止血を行います。それでも止まらない場合には、動物病院を受診しましょう。止血剤も市販されているので、念のため用意しておくとよいでしょう。

◆子猫の爪切りの手順

1.子猫を寝かせる

子猫を膝の上に寝かせて、リラックスさせましょう。

2.爪の根元を挟むように押して爪を出す

爪の根元を上下から指で挟んで押すと、隠れている爪が出てきます。
この時、強く押さないように注意しましょう。そっと押してあげてください。

3.尖った先端を2mmほど切る

クイックを傷つけないよう、先端の尖った部分だけを切るつもりで2mmほどを切ります。
前足の指は、左右それぞれ5本あります。親指(狼爪)は少し離れたところにあるので、忘れないようにしましょう。後ろ足も忘れがちですが、あまり爪とぎをしない部分なので、忘れずに切りましょう。


爪切りを嫌がられないコツ

リラックスしている子猫

◆子猫が落ち着いているときに切る

子猫が落ち着いていないときには、無理やりしないようにしましょう。無理に押さえつけて行うと、さらに嫌がる原因となります。
寝ている間に切るのも、おすすめです。起きてしまったら、また寝るまで待って、再開するとよいでしょう。

◆1度に全部切らなくてもよい

1度で全部の爪を切ろうとすると、飼い主さんも緊張しますし、子猫も長く拘束されて嫌になってしまいます。
最初のうちは、2~3本切れればよしと考えて、時間をおいて何度かに分けて切れれば大丈夫です。飼い主さんも子猫もストレスのない方法で、チャレンジしましょう。

◆爪切りの存在を怖がるなら

爪切りの存在を怖がる子の場合、爪切りが見えないように工夫することで、落ち着かせることができるかもしれません。
また、初めは爪切りを見せるだけ、次は爪切りを足に当てるだけ…と徐々に慣れさせてあげるのもよいでしょう。


爪切りが難しい時は

初めての場合、チャレンジしても上手くできないことも少なくありません。というかほとんどの猫が嫌がるかもしれません。
そんな場合の対処法をご紹介します。

◆獣医さんやトリマーさんにコツを教えてもらおう

爪切りは、動物病院によりますが500円~1,000円ほどで処置してもらうことができます。
かかりつけの動物病院で、獣医さんに爪切りをしてもらいながら、コツを教えてもらいましょう。愛猫の個性に合わせた慣らし方や切り方など、細やかに対応してもらえるはずです。
猫を受け入れてくれるトリミングサロンでも、爪切りを行ってもらえます。トリマーさんはお手入れのプロですので、そちらで聞いてみるのもおすすめです。

◆爪切りの形状を変えてみる

爪を切るときの音が嫌いな猫も、少なくありません。
ハサミタイプは切るときにやや大きな音がするため、嫌がる場合には、音が出にくいピコックタイプに変えてみるのもおすすめです。
ギロチンタイプは、穴の大きさが成猫や小型犬に合わされているので、子猫の場合、深爪になる恐れがあり、注意が必要ですよ。

◆暴れる時は洗濯ネットの使用も

爪切りのときパニックになって暴れたりドキドキ不安になったりする子は、洗濯ネットに入れて抱っこするのもおすすめです。
猫を袋に入れるなんて・・・と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、洗濯ネットは狭い場所が好きな性質を活かした猫に負担の少ない方法でもあるのです。